【フィラディス実験シリーズ第27弾 】 ハマグリとムール貝にマリアージュするワインを探せ!(営業 青木 翔吾)

2020.06.02ニュースレター

今回のマリアージュ実験は、和食には欠かせないハマグリと、バル料理の定番として世界中で愛されるムール貝がテーマです。
ハマグリはたっぷりと旨味を含んだ芳醇な味わいが特徴で、貝自体の味わいが強いためシンプルに調理されることが多い食材です。一方、ムール貝は磯の風味や貝ならではの旨味はあるもののあっさりとした味わいのため、ニンニクやエシャロット、パセリなどと一緒に調理されます。
今回は、調味料や香草などは加えず、シンプルにそれぞれの貝の本来の味わいに合うワインを探していきたいと思います。

実験方法

・ボイルしたハマグリ/ムール貝をそのまま冷凍したものを使用。 味付けは行わない。
・ワインはブラインドにてテイスティングする

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s_PrimeursCLINET.Avril2013©ANAKA-53

食材について

・ハマグリは、貝のままボイル&冷凍されたものを使用。塩分が濃縮し、十分な塩気を感じる味わい。
・ムール貝は、皮から外して冷凍されたものを使用。若干パサつきがあったが、汁をつけて食べるよう意識した。 磯の香りは感じるが、塩分は低めでやや淡白な味わい。

用意したワインについて

貝がテーマのため白ワインの方が合いやすいだろうと想定し、白18種、ロゼ1種、オレンジ1種、赤7種類を検証した。
白ワインはどんな種類がどう合うのかを明確にするため、選択肢を厚くした。

マリアージュの判断方法

「ボリューム」「テクスチャー」「フレーバー」「五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)」について、以下のマリアージュポイントを参考にしながら分析する。

同調 (ワインと料理の個性の一部が寄り添うことで双方を高め合う)

中和 (お互いの個性を中和させて味わいのバランスをとる)

補完 (ワインと料理の双方が揃うことで、足りなかったものを補完する)

※マリアージュ理論の詳しい内容は以下よりご覧ください
http://www.firadis.co.jp/newsletter/201312

結果発表

白ワイン

図1

ロゼワイン/オレンジワイン

図2

赤ワイン

図3

ハマグリ

<合ったワイン>

No.1 2018 Greco di Tufo L’Ariella / Vinosia

ワインの酸がしっかりしているので、それがハマグリの芳醇な味わいを支え、力強くも軽やかにまとめる役割をこなしており、元気の良い溌剌とした素晴らしいマリアージュとなりました。風味の上でも、ワインの要素とハマグリの風味が同調して引き立て合い、アフターでは旨味を引き出して余韻長く楽しませてくれる、非常に良い組み合わせでした。
 

No.2 2017 Just B / Just B Wines

リアス・バイシャスのアルバリーニョの中でも上級のJust Bが2位に選ばれました。通常のアルバリーニョよりもミネラルが強く、酒質も強いため、ハマグリの味わいの強さ・豊かさにしっかり寄り添いました。また、ミネラルが塩味と同調するとともに、ふんわりクリーミーな味わいやテクスチャーがハマグリの身の柔らかさやクリーミーさと相乗し、旨味や甘みをさらに引き立ててくれました。
 

No.3 2018 Verdicchio dei Castelli di Jesi Classico Superiore / Andrea Felici

1位のグレコは溌剌とした力強いマリアージュでしたが、こちらは派手さはありませんがしみじみ楽しませてくれるようなマリアージュでした。ハマグリの張りのあるテクスチャーにワインの柔らかく旨味あふれる味わいが心地よく寄り添い、最後にハマグリの旨味が余韻となって残るため、ハマグリの美味しさをメインで味わうことができます。ずっと飲み食べ進めてしまうような相性の良さでした。
 

No.4 2018 Riesling Tradition / Emile Beyer

フルーツやハーブなどのフレーバーが強く香るリースリングですので、ハマグリに菜の花を合わせた料理を食べているような気分にさせてくれました。ミネラルの細かさがハマグリの塩味とマッチし、後半双方の旨味が同調していることも評価されました。ただ、ワインのフレーバーがハマグリの邪魔をするという意見もありました。
 

No.5 2018 PIEROPAN SOAVE CLASSICO

当初から合わないわけがないだろうと思われたペアリングですが、ハマグリの塩味とワインのミネラルが合う、フレーバー同調のマリアージュを見せてくれました。樽香が気になるという意見もありましたが、キリッと冷やしたソアーヴェとハマグリは想像以上に楽しめる組み合わせであることを再認識しました。
 
<合わなかったワイン>

2017 Bourgogne Rouge / Quentin (Philippe) Jeannot

ハマグリは赤ワインがトコトン合いませんでした。ブルゴーニュ・ルージュは、ワインのベリー香と樽香が、ハマグリの持つ 磯の香りを邪魔して反発しあってしまい、全く合いませんでした。
 

2016 Seigneurs d’Aiguilhe / Cotes de Castillon

ハマグリが口の中に少しでも残っていると、ワインを飲んだ時にワインの甘さが浮き、タンニンの苦みも違和感しか生みませんでした。また、酸が高い赤ワインはハマグリをぼそぼそしたテクスチャーに変えてしまうという意見も挙げられました。
 
<ハマグリ総評>
今まで数々のマリアージュ実験を行ってきましたが、イタリアの白ワインはフレッシュな酸が食材の邪魔をしてなかなか良い結果が出なかったのですが、ここにきて グレコがNo.1、ヴェルディッキオがNo.3の座を獲得しました!両方とも素晴らしいマリアージュでしたが、グレコは元気いっぱいのマリアージュだったのに比べ、ヴェルディッキオはしっぽりと大人っぽいマリアージュと、方向性が180度異なっていたのが印象的でした。
また、リアス・バイシャスは海のワインの本領を発揮!今回2種類のアルバリーニョを用意しましたが、スタンダードタイプではハマグリの味わいを受け止めきれず、ミネラルや酒質が強い上級のタイプがぴったり合いました。
ハマグリは貝の中でも特に旨味が豊富に含まれる強い味わいの食材でため、それに負けずに寄り添えるボリュームと酒質の強さを備えたワインが上位に選ばれました。とはいえ、全体的に白ワインは一定以上の高評価を得られていましたので、白ワインを合わせておけばほとんど間違いは起こりません。一方で、オレンジワインと赤ワインは果実のフレーバーとタンニンが全く合わず、全滅という結果になってしまいました。

ムール貝

<合ったワイン>

No.1 2018 Gran Ribad Albarino / Tomada de Castro

ハマグリでは同じリアス・バイシャスのアルバリーニョでもより酒質の強いJust Bが合いましたが、味わいが淡白なムール貝には軽やかふんわり系のグラン・リバドが断トツのベストマリアージュとなりました。ワインの持つハーブ香がムール貝の甘味を引き立たたせ、しなやかなテクスチャーが寄り添いまとめてくれており、ムール貝の良いところを最大限に引き出しました。
 

No.2 2018 Greco di Tufo L’Ariella / Vinosia

ワインの甘味がムール貝の甘味と同調し、しっかりした酸味が旨味を際立たせて貝の風味を広げてくれました。また、アフターにはほのかな塩味を感じさせて引き締め、海を感じるようなフレッシュで華やかなマリアージュを見せてくれました。
 

No.3 2018 Verdicchio dei Castelli di Jesi Classico Superiore / Andrea Felici

ワインのボリューム感がムール貝によく合い、ワインの持つ豊富な旨味が貝の旨味とも同調しました。全体的なバランスが良いため、次から次に食べ飲みたくなる、気軽ながらも中毒性のあるマリアージュでした。
 

No.4 2018 Picpoul de Pinet Prestige / Cabrol

ムール貝にハーブと酸味をトッピングして料理に昇華させてくれるようなマリアージュでした。また若干ボソッとしたムール貝の食感をワインの粘性がカバーするというテクスチャーの補完効果で、ムール貝をより美味しく感じさせてくれました。
 

No.5 2018 PIEROPAN SOAVE CLASSICO

ワインのオイリーさがムール貝のパサつきを補い、酸味と新鮮な果実味がムール貝の磯の香りを包み込んで心地よく食べ進めることができる組み合わせでした。それぞれ単体で味わうよりも美味しく感じられました。
 

<合わなかったワイン>

2018 Marina Alta / Bocopa

白ワインの中では一番評価が低いワインとなってしまいました。残糖のあるワインのため、ワインの甘味が貝の苦味を引き出してしまい、フラワリーすぎる味わいとも相反して、それぞれが違う方向を向いてしまったように感じました。
 

Marina Mtsvane / Mavino(Iago Bitarishvili) ボトリング2018

ワインとムール貝が互いに主張しあい、ムール貝の苦みとえぐみが引き出されてしまうという厳しい結果となりました。 食事に合う万能なワインとして期待したオレンジワインでしたが、今回の貝実験ではその実力は発揮されませんでした。
 

<ムール貝総評>
優しい味わいが特徴のムール貝と合わせるため、その優しさにワインが上手く寄り添えるかがポイントになりました。その中でもアルバリーニョはムール貝の魅力を最大限引き出しながらしなやかにまとめあげる素晴らしいマリアージュでした。 また、ここでもイタリアワインが大躍進!ハマグリと同様に、グレコはフレッシュで華やかなマリアージュを、ヴェルディッキオはムール貝にしっかり寄り添い目立たないながらも双方をより美味しく感じさせる素晴らしいマリアージュとなりました。

まとめ

面白いことに、ハマグリとムール貝の上位3種類に、アルバリーニョとグレコ・ディ・トゥーフォ、マルケのヴェルディッキオという共通のワインが選ばれる結果となりました!(アルバリーニョはタイプの違いはありますが…)
この実験結果から、貝に合わせる際のポイントをまとめると以下の3つが考えられます。

①貝の塩味に同調し、旨味を引き出すための「塩っ気のあるミネラル感」があること

②ワインのフレーバーが強すぎないこと

③貝の弾力あるテクスチャーに負けない程よいボリューム感(粘性やアルコール感)があること

ハマグリとムール貝に共通する味わいの重要な要素は「塩味」と 「旨味」です。そのため、特に①にある「塩っ気のあるミネラル感」がキーワードとなりました。
また、赤ワインに関しては今回のラインナップの中に合うものを見つけることはできませんでした。合わない理由の大半はフレーバーにあり、赤ワインのベリー香と樽香は磯の香りとことごとく合いませんでした。 ただ、その中でも酸味・旨味・オイリーさがあれば可能性はあるのでは?という意見もあり、今後続編があるのであればチャレンジしてみたいです。
今回の実験はハマグリとムール貝を調理せずに行いましたが、どのような食材を合わせてどう料理するかによって選択するワインも変わってくると思います。しかし、まずはこの結果を基礎として参考にしていただけるのであれば、4時間に及ぶハードな実験を乗り越えた甲斐があるというものです(貝だけに)!

※実験は、感染症対策を十分に行なった上で3月上旬に実施しました。

実験中