【フィラディス実験シリーズ第23弾 】 本当に光はワインの大敵なのか? 紫外線によるワインの劣化を徹底検証!(営業 中小路 啓太 )

2019.06.04ニュースレター

一般的には、「ワインはできるだけ光を避けて暗い場所で保存するように」と言われています。

 

そこで今回の実験では、「光による影響が実際にどれぐらいあるのか?」を確認するため、光以外はほぼ同一の条件で長期間(6ヶ月)保管したワインの試飲を比較してみたいと思います。

 

両者の違いをディスカッションすることにより、保管時の光によってワインがどの程度影響を受けるのか、併せてワインの色合いや種類(泡白赤)によっても、結果に影響がでるのかも論点とします。

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紫外線の作用による劣化とは?

太陽の光に含まれる紫外線や赤外線には、物質を破壊する力があります。
特に紫外線は力が強く、窓際に置いた本や写真が退色したり、日光を長期間浴びたゴムが劣化するのは、紫外線の影響によるものです。人が日焼けをするのも、この紫外線によるものですよね。

紫外線がワインに与える影響としては、その色や味わいを変化させてしまうことが考えられます。
また光に当たり続けると還元臭がする、焼けた臭いの原因になるという意見もあります。これは正確には光というよりも紫外線の影響が強いと言われています。

太陽の光以外に、私たちの日常生活で紫外線が含まれるものはあるでしょうか?

実は、意外にも蛍光灯の光にも、紫外線はわずかに含まれているのです。
蛍光灯も、蛍光管の内側で人工的に紫外線を作り出し、蛍光物質がそれを可視光線に変えていきます。太陽の光ほどではありませんが、紫外線が含まれる以上、ワインにとって無害とは言えないでしょう。

では、紫外線がものに影響を及ぼす環境はどうでしょうか。
まず黒い色の方が紫外線を遮断して通さず、白い色程紫外線を通します。つまり紫外線がものに与える影響は、当たるものの色が濃い、薄いで大きく変化するのです。

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これをワインに置き換えて考えて、
同じワインでも光の有無によってどういった変化があるのか?
また同じ光を受けた場合、「ワインの色」「ボトルの色が濃い・薄い」でどれくらいの違いがあるのか?今回の実験はそこに焦点を当てています。

実験内容

6ヶ月間、紫外線の当たる場所と、蛍光灯の光も受けないような場所にそれぞれ下記の5アイテムを置いておきました。 光を受けない場所に置いたワインに比べて、紫外線が当たっていたワインはどう変化したでしょうか?
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実験は5チームに分け、「外観」「香り」「味わい」「総合評価」の基準で比較検討のち議論。
評価は〇→同じ、△→違う、×→大きく違うという基準です。
以上を踏まえ、最終的にチームごとの意見を発表し、議論しました。

結果発表

【泡】

Cremant de Loire Cuvee St.Gilles / Dutertre
外観・・・△ 泡立ちが弱くなり、色が濃くなる
香り・・・× フレッシュさが消え、状態として進んだ香り、ネガティブな香りが感じられた
味わい・・・× テクスチャーがゆるやかになり、まったりと口に残る印象
総合・・・×濁った印象で味わいのバランスが崩れている。美味しいとは言えない

【白】

Caprice de Clementine Blanc / Ch. les Valentines
外観・・・× もっとも影響が大きく、完全に色が抜けてしまっている
香り・・・× 影響が大きく、よどんでおり、腐った果実や獣臭がする
味わい・・・× 果実味が抜けてしまっている。フラットな味わいになり、薄っぺらい
総合・・・×全ての要素で影響が大きく、薄く、弱いものになってしまっている

Chardonnay Closerie des Lys / Antugnac
外観・・・△ 薄くなっている。
香り・・・× 淀んでいて、還元香がする
味わい・・・△ 果実味が弱くなり、酸を強く感じる。強い苦みがアフターに続く。
総合・・・× 明確に違いがあり、全体として要素が薄くなっている

【赤】

Docetto d’alba / Giacomo Grimaldi
外観・・・△ 若干、色が薄くなっている
香り・・・△ 若干香りが広がらず、雑味を感じる
味わい・・・△ 果実味が弱くなり、酸を強く感じる
総合・・・△ 白程ではないが全ての要素に違いがあるものの、要素によっては同じだと判断するスタッフもいた

Freakshow Cabernet Sauvignon / Michael David
外観・・・〇 違いがあると判断するスタッフもいたが、違いが極めて微小で判断しにくい
香り・・・△ 若干、果実香が落ち、落ち着いた印象。わずかに酢の香りという意見も
味わい・・・△ 若干、果実味が落ちて、タンニンが目立つ
総合・・・△ 最も影響が少なかったが、比較すると違いは色以外の要素に若干あった

実験を終えて

今回の実験では、やはり紫外線によるワイン劣化の影響は明確に存在するという結論になりました。

その受ける影響の度合いは「ワインの色×ボトルの色」により、色が薄ければ薄い程影響を受けました。逆に言うと、濃い色ほど紫外線の影響を受け難いということです。

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*今回最も色の変化が見られた 2017 Caprice de Clementine Blanc / Ch. Les Valentines


特に香り、味わいに関してはどのワインも影響を受けており、紫外線の侵入を許せば許す程、果実香も変化していきます。

しかし必ず還元香がするわけではありませんでした。還元香とはそもそも揮発性硫黄化合物によるものなので、どのワインでも同様に、同じ度合いでみられるわけではないと考えられます。
味わいにおいても紫外線により果実味が弱くなる傾向にあり、酸が立ちやすく、テクスチャーが緩くなりました。

このような実験結果からも、紫外線の当たる所にワインを保管しておくのは避けた方がいいです。
それでもスペースの問題上やむを得ない時は、布をかぶせるなどしてボトルにできるだけ直接紫外線が当たらないような工夫をするのが好ましいでしょう。