[2018年9月号] 【フィラディス実験シリーズ第19弾】グラスワインを更に美味しく!“ワインを開かせる系”グッズの実力やいかに?(広報 浅原 有里)

2018.09.05ニュースレター

今回の実験では、「グラスワインを更に美味しく提供することは可能か?」をテーマに、巷に溢れる“ワインを開かせる系”グッズの効果を検証していきたいと思います。

何気なく頼んだ1杯のグラスワインが美味しいということは、皆さまご承知のように、お店にとって重大な意味を持ちます。純粋に杯数が伸びるでしょうし、ボトルワインの注文にもつながるかもしれません。また「美味しいワインを出す店」だという認識とともにお得意様になっていただける可能性も高まります。もちろん選ぶワインの種類や銘柄も重要ですが、そのワインのポテンシャルを最大限に引き出すことが出来れば、お客様の満足度も格段に高まるのではないでしょうか。

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また、2018年1月号のニュースレターで行った酸化防止グッズの検証実験において、Coravinが酸化を防ぐ能力としては非常に高いものの、ワインが閉じてしまい抑圧されたように感じる&本来の豊かな香りが取りづらい&還元のニュアンスが出やすいといったマイナスの特徴も持っていることが分かりました。

そうした特徴は、開かせる=酸化させるアイテムとは相性が良いはず・・・。ということで、今回の“ワインを開かせる系”グッズと組み合わせて使用した場合はどうなるのか??こちらも確かめてみたいと思います。

☆ [2018年1月号] 酸化防止 ワインサーバー&Coravinの実力を徹底検証!(商品管理部 鈴木 幸恵)

 

【実験で使用した“ワインを開かせる系”グッズ】

※価格は実勢価格(税抜き)

① デキャンタージュポアラー(600円)

ボトル口に差し込んで取り付け、ワインを注ぐだけで複雑に空気と触れ合わせることが出来るポアラー。

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② ポネンテ(1200円)

ワインの流れを緩やかにさせて空気と接触せる立体構造を取り付けたドロップストップ。

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③ ワインエアレーター(1800円)

①同様にボトル口に差し込んで取り付け、ワインを注ぐだけで複雑に空気と触れ合わせることが出来るポアラー。

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④ ワインシャワー(2000円)

漏斗状になっており、先端に開いた穴からワインが放射状に放出されることでエアレーションを行う。

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⑤ マジックデキャンター (7000円)

本体中央から横に空気穴が開いており、上部からワインを注ぐと、本体を通過する間に空気と接触させることが出来る。

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⑥ BIRDY. DC700デキャンタ(16800円)

1~2杯分のワインを注いでくるくると回すと、内側に施された微細な凹凸によってワインに適度な空気接触をさせることができるデキャンタ。

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【使用したワイン】

※抜栓したてのものを用意

A ・・・ 白 : 2016 Macon Milly Lamartine Clos du Four / Domaine Cordier P&F
フランス・ブルゴーニュ、シャルドネ100%、フードル(3800L)16ヶ月熟成

B ・・・ 赤1: 2016 Santenay 1er Cru Clos Faubard / Lucien Muzard
フランス・ブルゴーニュ、ピノ・ノワール100%、バリック80%(新樽20%)+フードル20% 12ヶ月熟成

C ・・・ 赤2: 2013 Chianti Classico / Castell’in Villa
イタリア・トスカーナ、サンジョヴェーゼ100%、スラヴォニア製オークの大樽(25-80hl)24-30ヶ月熟成

D ・・・ 赤3: 2014 Fleur de Clinet
フランス・ボルドー、メルロ95%、カベルネ・フラン5%、バリック12ヶ月熟成

 

【実験結果】

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① デキャンタージュポアラー

全体的に美味しくなったとは言えない結果となりました。

A:ブルゴーニュ白とB:ブルゴーニュ赤については、グラスに注いだ瞬間には果実由来の甘い香りがパッと広がるのですが、持続性がなくすぐに飛んでしまう印象でした。そのため味わいのバランスが崩れてしまい、後半に酸を強く感じたり、タンニンが荒れた印象になって苦味が出たりとネガティブな影響が強く出ました。

D:ボルドー赤についてのみ、前半に開かせる効果が上手く作用して香りの華やかさが増し、果実味が前面に出て味わいの広がりを感じましたが、他と同様にアフターが早く終わってしまいました。

 

② ポネンテ

①と同じような結果となった②ポネンテ。注いだ瞬間の香りはよく開いて果実のチャーミングさやまろやかさもしっかりと感じさせますが、アフターの酸が鋭角的になったりタンニンが強調されたりと味わいのバランスが崩れてしまう印象でした。

 

③ ワインエアレーター

①~⑤のグラスに注ぐ瞬間に空気とワインを接触させるグッズの中では、最も評価が高かったのがこのアイテムでした。どのワインでも香りがパワフルに感じられ、甘味を伴った果実のふくらみが出るなど、分かりやすい美味しさがより表現されていました。まろやかになって一体感も生まれるのですが、味わいは前半勝負。後半の余韻は何も使用していないワインよりも明らかに短くなり、特にC:キャンティやD:ボルドーでは果実味が早く落ちてしまったことによって不自然にタンニンによる収斂性が協調されました。

前半にパワフルな美味しさが感じられるため、グッとお客様の心をつかむことは可能かもしれません。分かりやすく力強い味わいが好きなお客様も多いと思います。しかし、A:ブルゴーニュ白やB:ブルゴーニュ赤などは本来の魅力である酸やミネラル感が弱く感じられてしまうので、スタッフの中にはワインの個性が失われるのは受け入れられないという意見もありました。一定の効果は見られるものの、提供するワインや飲み手の好みによって良し悪しが分かれるアイテムだと言えるでしょう。

 

④ ワインシャワー

③と同じような変化を見せるのですが、どの点を取っても③には及ばず・・・。前半の果実味はしっかり出ますが、後半にミネラル・酸・タンニンというタイトさを構成する要素が不自然に強く感じられ、味わいにまとまりがありませんでした。残念ながらどのワインにも使用しない方が良いという結果となりました。

 

⑤ マジックデキャンター

こちらも③や④と同様に、前半には果実味が強調されワインがパワフルかつ柔らかくなり、熟成が進んだような複雑さも出ていましたが、中盤から終盤にかけてえぐみやタンニンの収斂性、ミネラルからくる塩味が支配的になって、残念ながら美味しくなったとは感じられませんでした。

 

⑥ BIRDY. DC700デキャンタ

この中で唯一の1~2杯用のミニデキャンタの登場です。①~⑤とは違い、ステンレス製のコップ型のデキャンタにワインを入れ、くるくると回して空気に接触させて使います。

結論から先にお伝えしてしまうと、このデキャンタが最も優秀な結果となりました!

A:ブルゴーニュ白では南国のフルーツのような香りが出て、ボリューム感が大きくなったように感じました。酸は穏やかに落ち着き、フレッシュな若々しさはなくなりましたが、ワインを開かせるという意味ではとても理想的だと思います。赤ワインについても、香りは開いて強く出ており、程良い柔らかさと複雑な深みがあってきれいにまとまっていました。若干タンニンを強く感じましたが、余韻も悪くなく、何も使わずに飲むよりもこのデキャンタを使用した方が美味しくなるという意見が過半数を占めました。

 

【Coravinとの相性はどうか?】

以前行った実験では、Coravinを使用したワインに対して「閉じている」という印象を受けました。実際に今回のA:ブルゴーニュ白とB:ブルゴーニュ赤にCoravinを使用しても、以下のような特徴が見られました。

○ワインが抑圧されてこもったように感じる

○本来の豊かな香りが取りづらい、上質なワインが持つ香りの“抜け感”がなくなる

○果実の甘やかさ大らかさが弱まるため、相対的に酸が目立つようになる。

○還元のニュアンスが出る

そこで、“ワインを開かせる系”グッズの中でも評価が高かった③ワインエアレーターと⑥DC700デキャンタを使用してみると、果実の甘い香りがよりきれいに強く出るようになって伸びやかな抜け感も感じられました。味わいにもスケール感が感じられるとともに果実味や酸・タンニンのバランスが取れてました。特に⑥DC700デキャンタを使用した場合は、余韻が美しく長く伸びるようになって、1ランク上の上質なワインを飲んでいるような印象を受けました。

 

【まとめ】

①~⑤までのグラスに注ぐ瞬間に空気とワインを複雑に接触させるグッズについては、③ワインエアレーターを除いて全体的に評価は高くありませんでした。全て注いだ瞬間は香りが華やかに広がり、口に含んでもアタックの果実味は強く感じるのですが、無理やりこじ開けられた感が否めません。強制的に開かされるせいか、香りの落ちが早い印象で果実香の持続性が弱く、後半には酸やタンニンを強く感じるとともに余韻自体が短くなってしまいました。その点、⑥DC700デキャンタはワインに余計なストレスを与えないため、酸化度合いも緩やかで高評価につながったのかもしれません。

高評価だった③や⑥はどんな種類のワインでもほぼポジティブな効果だったとはいえ、果実味が前面に出た力強い味わいが好みのお客様であれば使用すべきですが、繊細さや余韻を楽しみたいお客様には向きません。嗜好によって良し悪しが分かれるアイテムですので、サービスする際にはワインの味わいへの影響を見極めた上で、お客様に合わせた細やかな対応が求められます。

尚、もしCoravinを使用するお店であれば、組み合わせて使うことは大いに意味があると思います。Coravinのこもったような固さが緩和され、伸びやかな抜け感ある上質な味わいに変化するという、それぞれの弱点を補完するような非常に良い効果が出ました。

 

ワインをあまり飲んだことがないお客様にもワインを好きになってもらうために、そしてワインの注文を増やしてお店を更に盛り上げるためにも、1杯の美味しいグラスワインは重要な意味を持ちます。その“運命の1杯”にこだわっていただくために、今回の実験結果をぜひご活用ください!